誰かのアルバムをめくっているような映画だった
見てからもうかなり日にちが立つ
見たときは、なんだかいまいち消化不良な感じで、書きたい言葉か何もなかった。
悪い映画じゃないけど、なんだか私の上をスルスルッと通り過ぎた感じ。
それからいろいろあって、年がかわり
「あ、そういえば…」
そんな風に忙しい毎日が過ぎていく中、この「エリザベスタウン」を思い出したとき、胸の奥になんだか小さな固まりを感じたのだ
なんていうか、いやな感じじゃない。
透明でキラキラしてて、まるでサクマドロップみたい。
なんだか、とってもきれいな映画だったんだ。
オーランド・ブルームとキルスティン・ダンストという、本当に普通の2人を主演にアメリカの日常の一片を『ザ・エージェント』や『バニラ・スカイ』のキャメロン・クロウが描きだしている。
実は私、このキャメロン・クロウの作品が苦手だった
なんだか、きれいなばっかり。
そんな風に感じてた。
内容自体は設定にかなりの無理があり頭をかしげてしまう事が多いのだが、これがアメリカといえばアメリカらしいのかもしれない
現実的ではない現実に日常を感じるなんて、面白い物だと思う
不思議な光景ではあるかもしれないが、違和感を感じるシーンの連続でも、一人の青年の再生の軌跡を描き出して説得させてしまう力はさすがだと思う。
ある数日間の出来事を描いているのだが、実は、ある日過去を振り返って、アルバムをめくってみる。
あ、あんなことあったね。
この時は、どうしたんだっけ?
そう言えばこの日は雨だっだよ。
そんな数々の思い出をパーツの一片としそれぞれのシーンに埋め込んでみる
そうして、この映画はきっと出来上がったんだ。
断片的に思い出す数々のシーン。
映画としてすばらしいとはいいがたいけど、その一幕のシーンがそれぞれ脳裏に焼き付いている。
とっても不思議な感じがする
オーランド・ブルームのたよりげない姿に自分をオーバーラップさせ、キルスティン・ダンストの笑顔と言葉に救いあげられ、長いドライブが終わったとき、私にもなにか心に生まれた気がした
それが、サクマドロップだったんだね
2005年/アメリカ/123分
監督/キャメロン・クロウ
脚本/キャメロン・クロウ
出演/オーランド・ブルーム 、キルステン・ダンスト 、スーザン・サランドン 、アレック・ボールドウィン
キルステン・ダンストは不思議ちゃんだけど、実は心の奥底にやはり彼女なりの悲しみを隠していると言う事だと思うんですが、よくよく考えるとギリギリの設定でしたね。
それと、あの長電話だけは勘弁してほしいとおもっちゃいました(笑)
『映画としてすばらしいとはいいがたいけど、その一幕のシーンがそれぞれ脳裏に焼き付いている。
とっても不思議な感じがする』←って僕も同感です。
キャメロン・クロウ監督の映画って、どれもどこか不完全で、何故だかその不完全な感じが微妙に心に残りますよね。自分の中にある不完全さを見せられてるような気がするからかも知れませんねえ…。